えこあくと2006
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亜酸化窒素は温室効果ガスとして、地球温暖化の一因にもなり、二酸化炭素、メタンに次ぎ第3位の位置を閉め、京都議定書で削減目標の対象に挙げられている。地球温暖化係数が二酸化炭素の約300倍もあり、成層圏で一酸化窒素となりオゾン層を破壊する。また、大気中での半減期が約150年と長く、その濃度は数千年もの間ほぼ一定(285±1 ppb)であったが、50年ほど前から年々増加し、2000年には316 ppbに達している。余剰麻酔ガスとして排出される亜酸化窒素の量はわずかであるが、地球環境破壊に少なからず関与することが推測されている(図4-8)。 亜酸化窒素の消費量削減の方策として、全静脈麻酔法や吸入麻酔での完全閉鎖式あるいは低流量麻酔法がある。本院では、1996年にプロポフォールを採用し、全静脈麻酔を開始した。さらに、低流量麻酔法を積極的に推進することで、麻酔件数は増加したにも関わらず、近年の亜酸化窒素の消費量を大幅に削減することができた。今後も引き続きこれらの麻酔法を積極的に進めていく方針である。 ハロゲン化吸入麻酔(CFCs)も亜酸化窒素と同様に地球環境破壊作用が問題となる。最近、余剰麻酔ガスの中に亜酸化窒素を触媒上で酸素と窒素に分解して大気中に放出し、ハロゲン化吸入麻酔薬を活性炭により吸着、脱着、液化、回収する装置が開発された。コスト面も考慮しながら本院でも将来導入を検討中である。 地球温暖化とは、人間の活動が活発になるにつれて「温室効果ガス」が大気中に大量に放出され、地球全体の平均気温が上昇する現象のことである。二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、洗浄剤や冷蔵庫、カーエアコンなどの冷媒に使用されていたがクロロフルオロカーボン類(CFCs)などが温室効果ガスと言われている。近年、産業の発展や森林伐採による開拓などの人間活動の活発化に伴って温室効果ガスの濃度が増加し、大気中に吸収される熱が増えたことにより、地球規模での気温上昇(温暖化)が進行している。地球規模で気温が上昇すると、海水の膨張や氷河などの融解により海面が上昇したり、気候メカニズムの変化により異常気象が頻発する恐れがあり、自然生態系や生活環境、農業などへの影響が懸念されている。地球温暖化と温室効果ガス26Kumamoto University図4-8 温室効果ガスの地球温暖化への影響(クロロフルオロカーボン類)亜酸化窒素(笑気ガス、N2O)成層圏でNO:オゾン層破壊温暖化係数:CO2の300倍大気中での半減期:150年その他CO2(60.1%)(19.8%)(6.2%)(13.5%)(0.4%)CH4N2OCFCs

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