えこあくと2006
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第5章 地域貢献環境に関する地域貢献活動 地域の知的拠点である大学は、地域の経済や産業、風土、歴史や文化と結びついた教育・研究を展開し、地域の専門人材育成や生涯学習推進の役割を担い、産学官民の連携を効果的に実現することによって、地域の発展に貢献することができる。 熊本大学では、「地方中核都市に位置する国立大学として地域との連携を強め、地域における研究中枢的機能及び指導的人材の養成機能を果たすこと」が地域貢献に対する目的となっており、多くの教職員・学生が環境に関する自治体活動やNPO団体活動に積極的に参加している。 今回は本学教員が理事長である「みらい有明・不知火」と、運営委員として参加している「環境ネットワークくまもと」の活動を取り上げて紹介する。 有明海・八代海は、豊穣の海と言われてきたが、今日に至っては水産資源は疲弊し、海域の環境は悪化の一途をたどっており、早急な環境再生に向けた対策が必要となっている。 また、この地域は、不知火海高潮災害や水俣土砂災害で代表されるように、台風・高潮・洪水等の自然災害の常襲地域でもあり、これに加えて陸域を護る海岸堤防の老朽化と沈下の進行により、自然災害の危険性が増大してきており、早急な防災・減災対策が望まれる。 このように、この地域は、「環境と防災」という二律相反する課題に直面しており、今後、この地域の環境を再生し持続していくためには、この二律相反する課題に対し総合的な検討が必要となっている。 NPO法人「みらい有明・不知火」は、有明海・八代海における海域環境・生態系の保全と海岸堤防・干拓低地の国土保全に資するため、「産」「学」連携し、知力と応用技術力を結集して調査・研究を行い、その成果を行政に政策提言するとともに、海をテーマとする交流活動を行って、子供たちの健全育成と地域の活性化を図り、もって有明海・八代海沿岸地域全体の環境と生活基盤の安定に貢献することを目的に設立されたものである。 本学の沿岸域環境科学教育研究センターの教授を理事長として、平成14年6月に設立され、本学の多くの教員が会員として参加している。会員は一般会員160名、支援会員60団体の技術者集団で構成されている。主な事業内容は、 ① 海域環境の生態系の保全に関わる調査・研究事業 ② 陸域環境・森林・農地等の流域保全に関わる調査・研究事業 ③ 海岸堤防・干拓低地の国土保全に関わる調査・研究事業 ④ 海の交流事業と広報活動に関わる企画・運営の4つの分野で活動を展開してきており、積極的な調査・研究および政策提言を行うとともに、毎年シンポジウム開催を2回、干潟フェスタ(熊本新港親水緑地公園で、これまで7回開催)、子供たちへの環境学習講座等々、地域社会の安心・安全と環境保全に大いに貢献中である。みらい有明・不知火みらい有明・不知火みらい有明・不知火Kumamoto University27

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