えこあくと2012
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研究〈拠点形成研究〉 本研究拠点は大学院自然科学研究科の複合新領域科学専攻と理学専攻地球環境科学講座のメンバーを中心として、① 水循環機構・構造の実態解明② 水質浄化システムの高度化を含む水域負荷軽減技術の開発③ 水環境の生物化学的環境評価 の三つのサブグループから構成されており、 本研究拠点に関係した大学院博士課程教育プログラムとして、戦略的環境リーダー育成拠点形成『地下水環境リーダー育成プログラム(GelK)』(H22-26年度)が採択され、東南アジア・アフリカの留学生を対象として、総合的な研究能力と高度な洞察力を有する創造性豊かな人材育成を目指しています。(図1参照)写真2:熊本城内の井戸での地下水観測調査の様子写真1:熊本大学(GelK)・筑波大学(EDL)・東京大学(APIEL) 合同の国際シンポジウム図1:戦略的環境リーダー育成拠点形成 『地下水環境リーダー育成プログラム(GelK)』 高度な地下水関連科目の開講については、GelKでは計8科目の地下水に特化した講義を開講しており、H23年度はその中でも「地下水学要論」において国内の著名な8名の研究者を招聘し、地下水資源管理学や同位体水文学、地下水流動シミュレーション解析学等、多岐にわたり幅広く高度な地下水学の講義を開講しました。さらに、GJEC(自然科学研究科附属総合科学技術共同教育センター)と連携し開講している科目では、国内外から招聘した講師による5科目の講義を開講し、専門知識を深めると同時に、地下水に関連する問題の多面的理解や多様な対策手法などを国際的な視野を含めて学ばせることができました。「異分野融合実験」は野外での試料水採水と簡易水質計測、室内での一般水質分析、水質の空間分布に関するGIS(地理情報システム)演習、水質の時間的変化に関するデータ解析を通して、地下水調査の基礎から応用までのスキルを身に付けることのできる、実践的かつ効果的な実験科目です。参加学生と熊本城内に現存する約20地点の井戸を対象とし、地下水位測定および採水を行いました。 H24年度は、GelKからの修了生が出始めていることを踏まえ、修了生のネットワーク運営組織づくりに着手していきます。H24年度に開催予定の国際シンポジウムにGelK修了生を招聘して、自国での活動状況を報告してもらい情報交換の場とする予定です。また、修了生とのネットワークを通じて、その指導学生も継続的に本プログラムへの参加を促すなどして、本プログラムの目標である水環境技術の普及・展開と地下水環境リーダー育成を通じて本学が世界の水問題解決に貢献できる連携拠点として機能できるよう、5年間の教育活動を通して本ネットワークの維持拡大を目指します。詳細は http://www.gelk.info/index.html を参照のこと熊本地域を対象に地下水を中心とした水資源の持続的利用に関する研究を行っています。 このGelKにおける活動の中でH23年度の特筆事項として、国際・国内シンポジウムの開催、高度な地下水関連科目の開講が挙げられます。まず、国際シンポジウムについては、東京大学(APIEL)と筑波大学(EDL)と合同で本学において開催し、学生の活動成果の発表と国内外からの参加者との情報交換の場とすることができました。さらに、北九州市立大学と共催で、九州での農業の先進地である熊本において「農業に見る環境思想」シンポジウムを行い、日本の伝統的な農業と自然や環境に関する考え方について外国人留学生と議論できたことは、各国との風土の違いを共有した環境教育の重要性の再認識につながりました。また、熊本の水循環、地下水をケーススタディとして研究しているCREST研究プロジェクトと共同で「地下水帯水層中の硝酸性窒素汚染に如何に対処できるか?」をテーマとした国内シンポジウムを開催しました。地域水循環機構に基づく持続的水資源利用のフロンティア研究59Kumamoto University第 章05自然共生スタイル|環境配慮

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