えこあくと2012
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有明海の再生に関しては、国や県等の行政機関を中心に数多くの調査・事業が行われ、熊本大学でも本拠点形成の研究を中心に、科学技術振興調整費による「有明海再生の調査と実証試験」を平成17~21年の5カ年間実施し多大の成果を挙げてきております。一方、八代海については環境悪化が著しいにも関わらず、これまで総合的・系統的な調査・研究が殆ど行われてきておりませんでした。この“八代海”を再生するための研究プロジェクトが、文部科学省の特別経費で平成23年度から5カ年間の計画で、本拠点形成研究のメンバーを中心としたスタッフで鋭意、進められています。 その概要は、地域に立地する熊本大学が、長年にわたり取り組んできた海域環境の研究・教育の実績に基づき、「環境変動の評価と予測手法の開発」「未知事象の解明」「再生技術の開発と実証」の学際的学術研究を進展して、「生物多様性の沿岸環境」を目指した八代海の真の再生に取り組むもので、八代海が抱える課題を、「自然・生態環境」「安全・防災」「開発・利用」の調和した新たな観点から捉え、実施可能な再生策を研究・検討するものです。既に平成23年9月10日(土)、やつしろハーモニーホールを会場に、“八代海の再生をめざして”のタイトルのもと、キックオフ・シンポジウムを開催しました。また、平成24年1月29日(日)、熊本大学工学部百周年記念館で“八代海の再生をめざして~第2回シンポジウム~”を開催し、研究の具体的内容の紹介と研究成果の発表会を行ってきております。なお研究成果は随時、下記のホームページに掲載致しておりますので、是非ご覧いただきたく、ご案内致します。研究意見の交換合津マリンステーションの見学懇親会の様子URL http://accafe.jp/kumamoto_u_yatsushiro/「生物多様性のある八代海沿岸海域環境の 俯瞰型再生研究プロジェクト」1.有明海再生に続き、「八代海再生プロジェクト」が進んでいます 本拠点形成研究では、国内との共同研究は勿論のこと、海外との共同研究も積極的に取り組んでいます。特に、中国とは北京大学と青島海洋地質研究所との研究交流を深めております。この一環として、平成23年12月に青島海洋地質研究所(QIMG)から3名の研究者を招聘して、学術研究の交流を深めています。青島海洋地質研究所はその前身が南京で1964年に設立され、1979年に青島に移設・拡充された歴史ある研究所で、研究職員が約230名、研究分野は海洋地質・水質観測、海洋油田・ガス資源、海洋環境保全、海洋地質工学など7つの部署から構成されている大きな研究所です。今回の研究交流は、Siyuan Ye 教授(専門:地球化学)と Ping Ying 教授(専門:海洋地質学)が12月16~23日の1週間滞在、またHongming Yuan 助教(専門:海洋環境地質学)が12月16日~1月30日の45日間の滞在でした。滞在中は、互いの研究内容の意見交換とともに、有明海・八代海の干潟再生事業、合津マリンステーション、環境省国立水俣病総合研究センター等々の視察を行いました。海域環境の再生方策、海域環境汚染物質の除去、観測データの分析・解析手法などを中心として、今後の学術交流が期待され、共同研究協定の締結に向けて検討を開始しております。2.青島海洋地質研究所との学術交流を深めています閉鎖性沿岸海域における環境と防災、豊かな社会環境創生のための先端科学研究・教育の拠点形成自然共生スタイル|環境配慮60Kumamoto University

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