えこあくと2013
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この夏は、熊本をはじめ全国的に猛暑が続き節電等のエコ活動の推進にも大きな努力が求められました。今年は日本海側の多くの地域で大豪雨による多大な被害をもたらしました。また、関東地方の竜巻被害や台風18号による被害等、自然災害の脅威を改めて思い知らされたところです。これらの自然災害で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。私達は、大学、行政、市民の皆様などが一緒になって、英知を結集させて防災・減災の対策について真剣に考える必要があります。また、防災や減災は、学問分野を超え広い関連分野の連携の必要性も問いかけています。大学は、社会の要請に応えて、自らのキャンパスを防災・減災環境のモデルとして整備し、日頃から地域の防災・減災の意識を醸成するとともに、安全安心でかつ防災・減災と軌を一にする環境に関する諸課題に取り組むエコ意識を持った人材の育成に一層努めたいと思います。 周知の通り、環境問題はとりもなおさずエネルギー問題でもあり、Energy, Economy, Environmentの3つのEを一体的に解決していくことが求められます。環境問題への取り組みは、長い目で見れば異常気象に対する対応でもあることが2006年に出されたStern Review(スターンレビュー)と呼ばれる「The Economics of Climate Change(気候変動の経済学)」に示された一つの結論であることを思い起こさせます。 我が国は、優れた環境技術を有することから、地球や人に優しい環境先進社会への方向性を掲げています。本学は、世界に冠たる環境モデル先進国を実現するため、また、九州・熊本のイメージや土地柄にも合せて、地域の環境リーダーとしての役割を果たすべく、キャンパスを環境モデルエコ・キャンパスへと変貌させる取り組みを進めています。これからもこの取り組みをさらに充実・拡大させることで、環境先進キャンパスの整備を着実に進めたいと思います。また、環境関連産業の積極的な振興のため、環境・エネルギー関連の基盤的な科学・技術研究の推進に益々貢献したいと思います。 本学では「熊本大学環境方針」を2006年に制定し、2007年から環境方針を審議する環境委員会を稼働させました。さらに、2010年には、これまでの環境委員会を改組・充実した施設・環境委員会を設置し、これを全学的な司令塔とした環境マネジメント体制が確立しています。また、2011年度からは環境監査の実施体制も整えています。さらに、キャンパス整備ワーキンググループ(WG)、省エネルギー推進WG、環境活動推進WGなどが、環境安全センターと連携して、全学のエコ・キャンパス化に向けた環境整備にあたっています。また、環境マネジメント活動として、特に、学部新入生全員に教養教育としての環境関連科目を提供して、学生諸君と連携した環境整備活動にも取り組んでいます。環境マネジメントとしては、「低炭素スタイル」、「循環型スタイル」、「自然共生スタイル」の3つを基本概念として取り組み、低炭素社会を目指した省エネルギー対策、ゴミの分別の徹底と排出量の削減、水資源の保全や環境汚染物質の管理にも尽力しています。2012年度の活動や取り組みは、この環境報告書「えこあくと2013」に示されています。特に、昨年度から報告書の内容表現に大幅に工夫を加え、一目で取り組みの内容や成果が理解いただけるようにしています。お陰さまで、昨年の2012年度版の報告書の「えこあくと2012」は、第16回環境コミュニケーション大賞の環境報告書部門において環境配慮促進法特定事業者賞を受賞しました。 (参照: http://www.kumamoto-u.ac.jp/daigakujouhou/ shisetu/news) また、今年も学内で省エネルギー活動標語のコンテストを実施いたしました。2013年の第6回の標語募集では、200件を超える応募作品の中から、≪児童部門≫では、本学の附属小学校5年生の瀨口 優之介さんの「ムダ電気 へらそうなくそう 自分から」が、≪生徒部門≫では、本学の附属中学校1年生の幡手 嵩大さんの「省エネは 人と地球の おつきあい」が、また、≪教職員・学生部門≫では、本学職員の山口 洸平さんの「省エネは 未来へ向かう 乗車券」という作品が、それぞれの最優秀賞に選ばれ、学内教職員や学生・生徒諸君省エネ意識の涵養と省エネ活動に役立っています。 環境の改善・創造については、それを担う人材の育成が極めて重要です。環境マインドを持つ学生の育成はもとより教職員一人ひとりへの環境意識の定着にも力を注いでいます。今後とも教職員と学生諸君、さらには地域の皆様とも連携協力しながら、防災・減災も志向した「環境モデルエコ・キャンパス」の充実と拡充に向けて尽力してまいります。2013年9月国立大学法人 熊本大学学長トップメッセージ02Kumamoto University

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