えこあくと2014
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合津マリンステーションの活動 合津マリンステーションでは、合津臨海実験所として開設以来,50余年に渡って、本学の学生はもとより、他大学の学生や小中高校生・教員・市民に、海洋生物や沿岸環境保全に関する講義・実習や観察会を続けてきました。このような取組が評価され、2013年8月に文部科学省の「教育関係共同利用拠点」(2013~2018年)に認定されました。本制度は、各大学が自らの強みを持つ分野へ取組を集中・強化するとともに、他大学との連携を進め、大学の機能分化の促進や大学間ネットワークの構築を進める取り組みです。今後は、「有明海・八代海の干潟・浅海域の生物との実体験を通して学ぶ教育拠点 ‒化石から現生生物までを実体験で学ぶ教育拠点-」と銘打ち、これまでスタッフが取り組んできた干潟・浅海域を対象とした海洋生態の講義・実習はもとより、天草の特色のひとつでもある地球科学(化石・地層)の講義・実習も取り入れ、「地球と生物のダイナミックな歴史を学ぶ臨海施設」として発展していきたいと考えています。 沿岸域は、生物相が豊かで、魚介類など生物生産も高い地域ですが、世界人口の4分の3が生活しているため、さまざまな環境問題が起き、多くの生物が絶滅の危機に瀕しています。日本の沿岸域は、世界最大の生物多様性をもつ海域ですが、環境が悪化している場所が少なくありません。沿岸域環境科学教育研究センターでは、2011年度より最長5年間の時限で、「生物多様性のある八代海沿岸海域環境の俯瞰型再生研究プロジェクト」に取り組んでいます。 この他、「生きている化石」とも言われるナメクジウオの個体群調査を、1999年より天草市赤崎沖で継続しています。ナメクジウオは、脊索動物門頭索動物亜門に属し、干潟や浅海の砂の中に潜って生活している動物ですが、環境の悪化とともに各地で個体数が減少しています。我々は、天草での長期生態研究に加えて、本種の減少原因と個体群動態を明らかにするために、2011年度からは、南島原市沖でも調査を開始しました。他にも、モニタリングサイト1000沿岸域調査(干潟)、レッドデータブックの作成、沿岸環境の再生・創成、さらに社会や行政に対する環境保全・改善に関する政策提言を行いました。1. 教育拠点としての活動2. 生物多様性保全への取組観察会の人気者ハクセンシオマネキナメクジウオ調査(海砂のドレッジ)合津マリンステーションは、上天草市松島町にある沿岸域環境科学教育研究センターの附属施設で、3名のスタッフ(教授・准教授・技術職員)が常駐しています。本施設では、有明海・八代海をはじめとする沿岸域(海岸や浅海)の生物多様性の解明と保全、水産資源の管理・増殖、地域の環境教育(臨海実習や観察会の実施)など、多様な研究と教育を行っています。2013年度は、 八代海再生プロジェクト研究、ナメクジウオの生活史と人工増殖に関する研究、ハマグリの資源管理と養殖技術に関する研究、各種臨海実習 などを行いました。また、8月には文部科学省の「教育関係共同利用拠点」に認定されました。67Kumamoto University第 章05自然共生スタイル|環境配慮

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