えこあくと2015
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自然共生スタイル016Kumamoto Universityどのような研究内容か教えて下さい私の専門は海岸工学(土木工学)で、特に、有明海・八代海の再生を研究テーマとしています。八代海は、日本一閉鎖性が高く、環境が劣化すると外海とのやり取りが少ないため、一度汚れると浄化することが難しい海です。また海は高波や高潮という自然災害を発生させます。これらによる被害を防ぐために、防災・減災対策が必要です。災害対策と環境対策を両立させることは相反するものですが、これを解決する技術やシステムがありません。そのため、これらを調和させる研究を行っています。さらに災害対策は、地域によって対策方法が変わってきます。特に有明海・八代海では、津波よりも高潮被害の方が発生する可能性が高いものです。災害対策は地域の特徴に合わせて、さらに環境にも配慮して行う必要があります。そのための技術や社会システムづくりを科学的根拠に基づいて行っています。この研究がどのようなことにつながるか教えて下さい防災と環境の調和を両方実現した地域社会をつくりたいと考えています。誰もが活き活きと安心して暮らせる場所を作りたいと思っています。八代海は、環境劣化が激しい海です。外界とのやり取りが少なく、陸からの人為的影響を大きく受けます。それに加え、汚泥の行き場がないため、海底に蓄積されることで、生物が生きにくい環境となります。また高潮災害で人が亡くなる危険性があります。特に、地球温暖化などの進行により、災害の規模は大きく、頻度は高くなっています。しかし防災を考えるあまり、環境を破壊してしまっています。そのため環境保全に配慮しつつ、減災も考える必要があります。減災とは、構造物(ハード)のみで災害を防ぐのではなく、情報など(ソフト)を同時に活用することで災害に対応することを言います。また地域によって環境が異なるため、まずは環境の個性を把握することで、その地域特有の課題を見つけることが研究では重要です。ローカルな視点から、グローバル(普遍的)なものを見出す「グローカル」な考え方で研究を行っています。研究で楽しかったことは何ですか?毎日が楽しいです。研究プロジェクトに参加している研究者のみんなで、いろいろな視点からアプローチして研究することがとても楽しいです。また有明海の研究プロジェクトで、なぎさ線を作ることで、多くの生物たちが集まってきてくれた時は感動しました。日本最大級の干潟を有する有明海・八代海を中心とする沿岸域の自然環境や社会環境について基礎科学から応用科学までの幅広い教育研究を行い、地域社会へ貢献することを目指しています。沿岸域環境科学教育研究センター部局の活動Environmental initiatives of faculty01“ 八代海で環境と   防災を両立!    みんなで挑戦 ”- 熊本大学の「環境配慮」に繋がる研究活動とは? その研究の最前線に立つ熊大の研究者に、学生がその思いについて聞きました -InterviewQQQ左/松瀬奈月 さん(工学部物質生命化学科4年)右/山本 瞳 さん(工学部物質生命化学科4年)

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