えこあくと2016
40/96

自然共生スタイル拠点形成研究Bとは学内公募を通じて選出された、時代を先導する新たな価値を産み出す研究プロジェクトのうち、今後世界トップレベルを目指しうる研究プロジェクトのことです。038Kumamoto University- 熊本大学の「環境配慮」に繋がる研究活動とは? その研究の最前線に立つ熊大の研究者に、職員がその思いについて聞きました -Interview“ 健全な地域水循環と 持続可能な水田農業の あり方を考える ”どのような研究内容か教えて下さい私の研究のキーワードは水田で、それに関係する様々な機能を明らかにする研究を行っています。具体的な研究テーマは3つあります。1つ目は、農地の土の中で三大栄養素と呼ばれる窒素、リン、カリウムが土の中でどういう風に作物に届いているのかを明らかにすること。2つ目は、農業水利施設が食料の生産にどういう風に貢献しているかを評価すること。そして3つ目は、熊本の地下水を育む水田群をどのように維持しけばよいのかを明らかにすることです。2つ目と3つ目については、研究で集めた定量的なデータを根拠として、農業や環境政策に関わる提案を行政に対して行っています。一つのテーマにとらわれず、土壌の中にいる微生物の解析などミクロな視点と公共政策のようなマクロな視点からの調査研究を行うことで、水田農業を中心とする社会のあり方について多角的に考察しています。この研究がどのようなことにつながるか教えて下さい水田における食料生産をミクロな視点で、例えば、土の中での三大栄養素が作物にどのように到達するかを明らかにすることで、ムダのない効率的な肥料の利用を実現することができます。次にマクロな視点で水田をとらえると、例えば、用水配分の最適化によって水田地区としての食料生産がどのぐらい向上するのかを評価することが可能となり、米の生産の安定化と収穫量の増加につながります。「No Rice, No Life」、水田は私たちの生きる糧を作る場です。ほぼ毎日食べるお米には、安くて、美味くて、いつも安定的に生産されることが求められます。一方で、お米の生産には堰や用水路の整備など公共事業が必要であり、水田農業には農家さん一人でできないことが沢山あります。皆さんにとっても水田は身近な存在であり続けてほしいと思います。研究で楽しかったことは何ですか?稲が育つ姿を見ていくと心が和み、水田に夕日が水面に反射する姿を見ると安らぎます。また、農家さんのプロの技術を垣間見ることが出来るのは私たちの特権です。農家さんは水管理など水田に関するプロですが、計測器など測って水田の水管理を行っているわけではありません。計測を通じて、数値やモデルに落とし込んだ結果、一定した数値が出て、農家さんの技術をデータとして証明できたときの感動は何にも代えることができない喜びです。高校生や大学生に伝えたいメッセージはありますか?私がよく唱えているのは「脳みそ筋肉説」というのがあります。運動をある程度負荷をかけて行うと翌日筋肉痛になり、回復して筋肉がついて、強くなりますよね。勉強も一緒かなと思っています。少しばかりしんどい思いをしてストレスをかけると、後に新しいことが出来るようになる。ほどよく負荷をかけて、勉強しましょうといつも伝えています。多少の無理はいいスパイス。何も行わないと可能性は減ってしまいます。大藤 康一朗 さん(社会連携課 研究コーディネーター(URA))/左鳩野 恵梨 さん(社会連携課 研究コーディネーター(URA))/右地域水循環デザイン研究室の学生の皆さん/中央QQQQ

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です