えこあくと2016
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自然共生スタイル040Kumamoto University拠点形成研究Bとは学内公募を通じて選出された、時代を先導する新たな価値を産み出す研究プロジェクトのうち、今後世界トップレベルを目指しうる研究プロジェクトのことです。左/日髙 悠希 さん(大学院先導機構URA推進室 研究コーディネーター(URA))右/福田 直子 さん(大学院先導機構URA推進室 研究コーディネーター(URA))研究の概要 メソ(meso)は、「中間」という意味で、マクロ(>100μm)とナノ(1‒10nm)の間に位置するスケールの領域です。これまで蓄積したナノテクノロジーの研究開発は、新規機能性素体を提供する形で「メソ領域科学」の発展に寄与できることから、メソ領域科学における基礎的な学問や技術を確立し、その上で環境、材料、機器開発、医薬分野での応用開発を目指します。- 熊本大学の「環境配慮」に繋がる研究活動とは? その研究の最前線に立つ熊大の研究者に、職員がその思いについて聞きました -Interview上/メソポーラスな材料を用いた  微量水分センサー左/電場と膜透過による  溶存イオンの抽出デバイスの  動作原理QQルの溶液層では、わずかな電圧をかけるだけでも溶存イオンは格段に加速され、わずか数秒ですべてのイオンを取り出すことができます。この研究がどのようなことにつながるか教えて下さいこうした、「ナノ」構造の膜と「メソ」構造の溶液層を上手く利用して土壌や水環境に関する研究を進めていこうと思っています。先ほど土壌の話をしましたが、土壌中には六価クロムという人体に悪影響を及ぼす有害物質が含まれています。一方、クロムには人体に不可欠な三価クロムも存在しており、土壌汚染対策法など様々な法律では、六価クロムのみが規制されています。この2種類のクロムは、六価クロムは陰イオン、三価クロムは陽イオンであることから、先ほどの電場と膜透過を利用した手法により、迅速にそれぞれを測定できるようになりました。また、六価クロムの汚染は人的なものだけでなく、自然界でも起こることが知られています。現在、自然由来におこる六価クロム汚染の原因解明、さらに、発生した六価クロム汚染が人為由来か、自然由来かを判別する手法の研究を進めています。高校生や大学生に伝えたいメッセージはありますか? 僕はもともと実験が好きで研究者の道に進みましたが、最近は学生さんが研究を通じて、成長している姿を見るのも大きな楽しみになってきました。知識が増え、科学的な思考力が身につくと、だんだんアイデアを持ってくるようになるんです。嬉しい瞬間です。「なぜこうなるんだろう」という問いは、研究の本質です。高校生の方には、結果を効率よく覚えるだけでなく、「なぜこうなる」のプロセスを考えることを大事にしてほしいと思います。また、サイエンスの共通語である英語と数学をぜひ早いうちから身につけて下さい。色々なことを経験して、視野を広げてほしいですね。

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