えこあくと2016
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「環境省九州環境パートナーシップオフィス(EPO九州)」についてKumamoto University093えこあくとの第三者意見2016えこあくと2016環境報告書にかかる第三者意見九州環境パートナーシップオフィス(EPO九州)コーディネーター澤  克 彦本報告書は、そのタイトルのとおり熊本大学における環境保全の取組み(ECO)に関する、FACT(事実)を積み重ね、ACT(行動)につなげることを提案しています。こうした視点から、今回発行された「えこあくと2016」を見ていきましょう。まず、73ページをご覧ください。熊本大学における環境マネジメント並びに本報告書がまとめる環境保全活動の全体像が、1本の木をモチーフに図解されています。様々な分野にまたがる環境保全の取組みをとおして、育てていきたい環境意識やテーマが示されています。報告書のコンセプトを伝えるメッセージとして、もっと力強く報告書前半の早い段階で打ち出されてもいいでしょう。さて、7ページ以降には、学生生活のシーンに応じた環境取組について、学生一人一人の行動・実践の姿が示されています。環境保全やその課題は、生活と密着したところに解決の糸口があることから、「グリーン・コンシューマ(賢い消費者)」としての姿が示されています。ここでは、もう一歩踏み込んで、エコ学生のペルソナ(個人的背景や、環境マインドの状態)についてもキャラクター設定(アバター設定)するなど、情景としての学生生活にとどめず、客観的でありながら、学生の目線・視野に立った身近な存在感のある姿を描いてみてはいかがでしょう。そして報告書本編とも言える、分野ごとの研究室やプロジェクトの紹介に入っていきます。特に、今回はその裏方とも言える事務部門にもスポットをあてています。研究活動を支える研究コーディネーターにも登場いただき、専門分野についてのインタビューをとおして、活動の幅広さや研究におけるポイントが当事者の目線から語られおり、身近に感じることができます。熊本大学から発行されている様々な刊行物の中にあって、環境保全の視点から、年間の研究・教育・マネジメト活動を総括した本報告書の存在意義・役割は大きいと言えます。まず、報告書そのものが学生や教員、関係者の環境意識を高めるツールとして働きかけます。同時に、発行プロセス自体にも価値があると言えます。データを集積するとともに、誌面に登場いただく教員とその研究室、学生、事務の方々に趣旨を理解してもらい、必要なコンテンツや成果を提供いただくプロセスをとおして、全学的な環境意識を高める効果が期待されます。その過程全体をとおして環境コミュニケーションを活性化させる、そうした存在意義・役割が発揮されています。さらに、そうしたコミュニケーションを具体化する場面として、環境教育や環境マネジメントに関する取組がいっそう期待されます。61ページには環境教育に関するプログラムが紹介され、77ページには環境監査資料をもとにした大学院生による意見交換の取組が紹介されています。この報告書がもつ圧倒的な情報量を教材として、人材育成につなげることで、単に環境課題について伝え・学ぶ環境教育にとどまらず、これからの熊本大学の活動やビジョンにつながる課題解決型の学び=アクティブラーニング、を基盤とするESD(Education for Sustainable Development)へと発展し、さらに具体的な環境行動を呼び起こすツールとして、積極的に活かされる場が広がることを期待してまとめといたします。● EPO九州に期待される役割EPO九州は、パートナーシップによる課題解決を目指し、地域におけるNPO、企業、行政、市民の主体的参加によるパートナーシップづくりに役立つ拠点として、①環境省や国の行政と、地域の市民、NPO、企業、地方公共団体などとの間の情報の共有・交流、パートナーシップでの取組を推進する役割②地域の拠点として、行政単位を超えた各主体の協働での取組を支援する役割を担います。● EPO九州の取組む事業EPO九州は、持続可能な九州をつくりだす環境パートナーシップの力を「九州の環境力」と位置づけ、次の取組をしています。1.環境活動に関する情報の収集、整理、発信・各主体と連携を取り、地域の環境に関わる情報の収集・提供・政府や地球環境パートナーシッププラザなどと協力し、国レベルや国際的な環境に関わる情報を地域に発信・地域の取組の状況、意見を政府などにつなぐ 2.対話・連携・学習の場づくり・行政、市民、NPO、企業など様々な主体間での意見交換会、ワークショップを開催3.九州地域の環境課題の理解と改善活動・地域でのNPO活動を、パートナーシップでの取り組みの側面から支援環境省では、地域での環境パートナーシップづくりの支援拠点としてEPO九州を2007年9月に設置しました。

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