えこあくと2017
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Kumamoto University037どのような研究内容か教えて下さい私たちの研究は、構造材料として利用できるマグネシウム合金の研究です。マグネシウムは金属の中で最も軽い金属なので、工業製品の軽量化が期待されます。しかし、マグネシウムは強度が弱く、発火しやすく、錆びやすいという欠点があります。そのため、航空機に使用すると発火してしまう危険性があり、使用が禁止されています。私たちは長い年月をかけて、発火せず、強度が強いマグネシウム合金を開発することができました。なぜ発火しないのかというと、酸化皮膜などで酸素を遮断する薄い膜をつくることによって、約1000℃の高い温度にも耐えられるからです。このことにより、航空機に使用することができ、なおかつ軽量化を図ることができます。この研究がどのようなことにつながるか教えて下さい医療用の道具として期待されています。例えば、血栓ができた際に、血管内に入れるステントという医療器具をマグネシウム合金にすることで、人間の体に吸収されやすくなります。よって取り出すことができないステントをマグネシウム合金にすることにより治療後に体内で吸収し消化することができます。また、自動車のエンジンのターボチャージャーなどに使用されている強い圧力をかけて気体を圧縮し送り出すコンプレッサーという機械や携帯電話、車のホイールなどの軽量化、製造する際の発火の防止などにもつながっています。研究で楽しかったことは何ですか?どの研究にも言えることですが、新しいことを発見したときに、もちろんうれしいという気持ちは100%あります。ですが、この新しいことを知っているのは世界で自分だけだという気持ちになり、さらにうれしいです。先進マグネシウム合金の 国際先端研究拠点低炭素社会に向けてResearch研 究01国際先端研究拠点井上 晋一 先生Interviewee先進マグネシウム国際研究センター共同研究部門教員“ 一生に一度出会えれば  幸せな金属合金 ”QQQ上/KUMADAI不然合金をガスバーナーで炙った写真(手前の数字はKUMADAI不然合金の温度)  

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