えこあくと2017
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低炭素スタイルこの研究がどのようなことにつながるか教えて下さい目に見えるものの微細化です。物を、1メートルの十億分の一であるナノの大きさまで小さくします。目に見える物をどんどん小さくすると原子の大きさに近づきます。全てのものは、この原子からできているのです。ものは小さくすることで効率が上がります。このことは、私たちの身の回りにある電気製品に利用されています。例えば、スマートフォンですが、皆さんが使っているスマートフォンは、充電が一日は持つと思いますが、それ以上持つことはないと思います。三日四日続いてほしいと思うでしょう。私たちは、回路に組み込まれている部品を小さくすることで、電気抵抗を小さくし、作業効率がよくなることで1回の充電で長持ちさせるようにする研究も行っています。このように、ものを小さくすることで、生活の質を向上させることができます。ちなみに私が使っている洗剤は「NANOX」です。研究で楽しかったことは何ですか?研究を通して、他の大学等の研究者との出逢いがあったことです。また、いろんな国の研究者とも会い、その方達と意見を交わすことが楽しかったです。研究というのは、うまくいかないことの連続ですが、何が問題なのかを追求し、改善しながら自分の予想通りの実験結果がでたときに喜びを感じることができます。私は、オーディオが好きで高校時代に自分のステレオのスピーカーを改造して、どうやったらいい音が出るようになるか、何度も試していました。研究者になるには、失敗してもあきらめないことが大切だということがわかりました。高校生や大学生に伝えたいメッセージはありますか? 自分の将来の目標や、興味があるものについて、身近なところで参考になるものはないか、とアンテナを張ることが大事です。例えば、建築に興味があって建築家になりたいというのであれば、今ちょうど熊本城が修復中なので、めったに見ることができない骨組みを見ることで、どんな構造になっているのか知ることができます。このように見ると地震が起きたことも全てがマイナスの面だけではないことがわかります。これは研究でも同じことで、失敗から多くのことを学ぶことができるのです。皆さんも、物事を多面的に見る力を身に付けてほしいです。それから、手を動かして実験をしてほしいです。名前は知っていても、見たことがない器具などがあり、大学で実験をするときに困ります。最後に、化学と物理、数学を勉強しながら青春時代を謳歌してください。QQQ040Kumamoto University- 熊本大学の「環境配慮」に繋がる研究活動とは? その研究の最前線に立つ熊大の研究者に、高校生がその思いについて聞きました -Interview“ エネルギーを    生み出す物質 ”左/立野 倫太朗 さん、中/清田 大誠 さん、右/城 直道 さん(ともに熊本県立済々黌高等学校 2年)拠点形成研究Aとは学内公募を通じて選出された、時代を先導する新たな価値を産み出す研究プロジェクトのうち、エビデンスに基づき既に社会から高い評価を受けている世界最高水準の研究です。

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